覚書 メモ

自分のための備忘録です。

観音菩薩がその日暮らしの派遣労働者を助けてくれた、というお話

観音 「己がいたく侘び嘆きしがいとほしかりしかば、いま十九人が所には、我、たしかに植ゑて、清くまごころにありきつるほどに、我も因じにたり」。

 

訳 お前がとても嘆いていたので、残り19人が所には私が確かに行って、一生懸命植えておきました。

 

先日は邪魔になった老親を海に捨てる息子のお話でしたが、今度は日雇い派遣の女子のお話。やはり古本説話集からです。

今は昔、右衛門尉なりけるものの、 - ブログ・日記・覚書

 

あるところに貧しい身よりの無い、若くもない女性がいて。

業者さんに登録して、あちこちの田で働いていたのですが、ある時、20もの業者と契約して、前払いでお給料を貰ってしまいます。

 

「まさか同じ日にお呼びがかかるなんてことはないわよね」と思っていたのだけれど、果たしてお呼びがかかってしまい。

 

取りあえずひとつにだけ出掛けて行き、他の19か所には行かなかった。

にもかかわらす、夜、全ての田んぼの人達が次から次へとあらわれ、

「今日は良く働いてくれた! ご苦労さん!」みたいなことを言い、お礼のご馳走なんかもくれた。

 

え? どういうこと? と思ったら、家に安置してあった観音菩薩の木像が泥まみれで、どうやら観音様が代わりに田んぼに入って田植えをしてくれたらしい、というオチ。

 

うーん。

昔も今も変わらない。