1987年の夏だったと思う。
祖母名義の土地を担保にお金を借り、アパートを建てた。
銀行はあっさりお金を貸してくれた。
5500万円也。
20代前半だった私と当時まだ大学生だった弟の二人で銀行へ行き、話を取り付けてきた。
土地の名義は祖母だったし、ローンの借主も祖母だったから、本来ならば銀行は祖母とも面談をしなければならない。けれど結局祖母とは会わなかった。
「長男宅に今暮らしています」と伝えたら、来なかった。郊外まで行くのが面倒だったのだと思う。
今では信じられない話。
バブルの頃。5500万円なんて、銀行にしてみればはした金だったのだ。
で。あれから30年。
うちは土地はあるけれど、収益をあげているアパートはあるけれど、現金はそれ程はない。
これではいざという時は不安だから、数年前から思い出したようにメインバンクに電話をしては、融資について質問をしている。
「一等地に土地があります。抵当権とかも付いていません。お金、貸してくれますよね? いざとなったら。」
ところが銀行の答えはNO。今の時代は土地があってもなかなか融資はしないのだそう。納税の為とかでもダメなのだそう。
20年ぐらい前は、相続税の納付の為にお金を借りたのだけれどなぁ。それもダメ。
ついでにモーゲージローンもダメ。なぜならモーゲージローンというのはあくまでも普通の自宅を担保にするローンであって、アパートだとダメなのだそう。
ときどき機会を見ては、銀行の色々な行員さんに再確認をしているのだけれど、皆さま「すみません。駄目です」と仰っているので、駄目なのだろう。
うーん。バブルの頃、簡単に5500万円貸してくれたのも変だけれど、一転して今度は頑なに貸さないのも極端から極端。
うちは住宅ローン、アパートローン、そして相続税のローンと、みんなこの銀行から借り完済しているのだよね。
何か変だ。